病院で治せる病気、うつ病を正しく知ること

お医者さんと看護師さん達

心と脳

体にこれといったケガもしていない。咳が出るわけでもない。ただ、気分が重く沈んでいる。
まるで旧時代の潜水服に押し込められて、ろくに酸素も送られずに水底に沈められているような感覚……これを、人に説明するのはなかなか難しい話です。
ましてや、うつ病にかかってしまうと、そもそも説明する気力さえ湧いてこないというパターンも多いのです。考えること、体を動かすこと、何もかもが億劫であるという気分になるものなのです。

そういうわけで、かつて、うつ病は単なる「気の迷い」がちょっとばかり重くなったものに過ぎないという見方をされていました。「病院に行くなんて、大層なことをする必要はない」と言われることもあったのです。
うつ病にかかっている人に向かって、「シャキッとしろ!」という言葉がかけられることさえ、あったといいます。
ハッキリ言って、そのような前時代的な捉え方でうつ病を見るのは間違いです。うつ病は確かに、心という曰く言いがたい、その存在を目で見ることが出来ないところに現れる病気ですが、同時に、「脳の病気」でもあることが分かっているからです。

この病気の原因が何なのか、その原因解明が120%成功しているとは言えない状況にはありますが、少なくとも、病気自体の姿を明らかにすることには、現代医学は成功しています。
人の脳のメカニズムについて研究することで、そのことは可能になりました。
私たちの心の動きを左右しているのは、医学的に言えば脳内にある神経細胞による情報のやりとりです。神経細胞の複雑に、精緻に組み上げられたネットワーク上を、神経伝達物質が走ることによって情報がやりとりされています。
うつ病は、その情報のやりとりがスムーズにいかないことで起きるものだということが分かっているのです。神経細胞がうまく働かなくなった脳は、心の動きを鈍く、沈んだものにしてしまいます。

うつ病について考えるとき、上のような心と脳のメカニズムがあることは、理解しておく必要があるでしょう。